【あしたのジョー全出来事146】カーロス山谷で豪遊「ロープが鋼鉄の棒」
「あしたのジョー」すべての出来事を漫画とアニメの違いを確認しながら振り返っています。
アニメ、漫画の該当箇所も書いておくので「あの場面は、何巻だっけ?アニメの第何話だっけ?」と思った時にもご活用ください。
エピソード
カーロスがいなくなりました。
白木ジムの練習生は、「ジョーに会いに行く」と言っていたと話していますが、泪橋にも来ていません。
土手ではキノコが、南米人のちょっとばかしいい男からもらったというお菓子を食べています。
カーロスは、玉姫公園で山谷の人たちと歌っていました。
…なじんでる。
服はその辺で会ったおっさんと交換したとかでドヤ街ルックに。
乗ってきた車はみんなに配る酒やおもちゃを買うために売ってしまったとかで、もうありません。
でもジョーに会いに来たんじゃないの?
結局カーロスは、ジョーと一緒に丹下ジムへ向かいます。
つまり…
ジョーのところへ来たけど、山谷のおっさんらと気があっちゃって用事忘れて遊んでたってこと!?
カーロスはジョーにスパーリングの相手がいないと聞いてパートナー役を買って出ようとしていたみたいです。
カーロスが「もうロープ際のジョーは怖くない」「封じる手段をマスターした」と言い、「とにかくスパーリングだ」「このジムにグローブあんのかい」と煽るので、ジョーも怒り出します。
カーロスのこの感じは、どこかで…
いえ。どこかと言うより1巻からずっとこんな人を見てきたような…
このふたりは実によく似ています。
スパーリングは激烈を極め、葉子は「矢吹くんが野性に帰っていく」と言い、ロバートはカーロスを「まるで別人のように生き生きとしている」と言っています。
この場面は、2018年のあしたのジョー50周年展で高森城氏(原作者の長男)が選ぶ15シーンのひとつに入っていました。
カーロスは
後楽園球場でユーガ モタレ込むロープハ
(中略)
鋼鉄ノ棒ノヨウニ堅クナリ(後略)KCコミックあしたのジョー(13)P117 (c)高森朝雄・ちばてつや2012
と、気になる言葉を残して立ち去ります。
カーロス…
ロープ際封じの秘策を考え付いて、それをジョーに言いたくて来たの?
段平には互角に見えたスパーリングでしたがジョーは、カーロスは本気ではなかった、これまで一度も本気でかかってきたことがないと考えています。
該当箇所
コミック:13巻P62~128
アニメ1:該当エピソードなし
アニメ2:該当エピソードなし
コミックの掲載箇所としているのはKCコミックでのページです。
原作とアニメの相違点
原作だけのエピソードです。
アニメにもカーロスが山谷へ来るシーンはありますが、来るタイミングと動機が違います。
アニメ1では、ジョーがまだドサ回りに出ている間にロバートに連れられてやって来ます。
ジョーについて知るためとかそんな感じの理由です。
アニメ2のカーロスは、タイガー尾崎をヤった後、勝手にジョーとの対戦を決めますが、タイトルマッチが決定しているので、ロバートは無理にでもカーロスを離日させようとしています。
そこでカーロスはロバートをぶん殴って逃走。
丹下ジムへ向かうけれども途中で会ったサンドイッチマンと服を交換してサンタクロースに。
ジョーと会えたときにはサンタ。
サンタのまま公園、喫茶店、屋台。
こちらだと、カーロスが山谷に来たのは、家出の一時避難のような感じですが、避難所などなくてもなんとでもなる人なので、魂の命ずるままにジョーのところへ走ってきてしまったのでしょう。
そのワリには途中でサンタになったりしているところがカーロスらしいです。
ほとばしる激情を内包しながら、傍目には楽しいにーちゃんにしか見えない人。
また、この話が原作にしかないので、山谷住人が葉子に蛮行しそうになるのをジョーが怒って止める場面も原作にしかありません。
これは葉子を守ろうとしているようにも見えますが、山谷のプライドを守ろうとしているようにも見える、興味深いやり取りです。
それ以前にジョーは生来的にああいうことが嫌いなのかも。
いちいち女、女と浅ましく盛ってんじゃねぇ!という感じ。
原作ではこの日サチが、葉子を見て、あれはジョーに惚れていると言っています。
サチが言うならそうなのだろうと思いますが…
ちばてつや氏は、ずっと葉子の気持ちが分からず、カーロス戦前後に、梶原氏(高森氏)に「葉子は力石とジョーのどちらが好きなのか」と聞いたそうです。
梶原氏は、そのうち分かると答をはぐらかしていたそうですが、そうするとサチの言葉は、手探りのようなものだったことに?
この裏話は、『あしたのジョー』と梶原一騎の奇跡に書いてあります。