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ジョーとカーロスのスパーリングとポップコーン

2020年11月3日

あしたのジョーにはアニメが2シリーズあります。

1期は、物語の始まり、ジョーが山谷に現れるところからカーロス・リベラと対戦するところまでで、2期は、ジョーが力石戦後の放浪から山谷に戻ってくるところから最後のホセ・メンドーサ戦までをカバーしています。

つまり…

地獄からの使者期からカーロス戦までは、アニメ1とアニメ2の両方に入っているわけです。

中でもカーロスの話のパートは、ジョーのドサ回りがあるかないか(アニメ1にはあって2にはない)、カーロスとの対戦が何回あるか(原作ではExと試合の2回、アニメではどちらも1回だけ)などの違いがあり、どこで何が起きたのか記憶が錯綜しがちです(私だけ?)

カーロスとジョーの関係についてまとめたいのですが、出来事を整理しないと無理っぽかったので、順にやっていきます。

ここではスパーリングを。あとポップコーンか。

矢吹丈とカーロス・リベラのスパーリングを原作とアニメで整理

白木ジムでカーロスとジョーがスパーリングをするのは、原作ではジョーがドサ回りから帰ったときですが、アニメ2にはドサ回りがないので、嘔吐癖で試合が出来ないながらも山谷にいた時期になります。

原作アニメ1アニメ2
該当箇所11巻P231~12巻P5873話「よみがえるクロスカウンター」8話「あいつが…燃える男カーロス」~9話「そして…野獣は甦った」
ジョーの状況ドサ回りから帰ったところドサ回りから帰ったところ山谷にいるが、試合を干されている
カーロスの3雑魚処理進捗度南郷戦のみ済
残りは原島とタイガー
南郷戦のみ済
残りは原島とタイガー
南郷原島済
残りはタイガーだけ
段平の状況ジムを解散して日雇いジムを解散して日雇いジョーをジムに置いて家出中
カーロスはジョーをどう思っている強いと思ったら弱かったおかしな男(南郷矢吹戦で)仙台以来相思相愛

ジョーが白木邸に現れることも予感している

ジョーに特別な興味はない

ジョー個人を甘く見ているというより自分に敵う相手はそういないと知っているので、ジョーのこともそのくらいに思っている。

そのくらい=BGMを聞きながらスパーリングをやる程度

スパーリング実現までの経緯ドサから戻ったジョーが、その足で白木邸を訪れ、葉っぱを食いながら「スパーリングパートナーに雇え」

ジョーがカーロスの実力を見抜いている気配を感じたロバートが、あえてスパーリングを承諾する。

ドサから戻ったジョーが、その足で白木ジムに頼みに行く。

カーロスの希望で実現。

ロバートは乗り気ではない。

ジョーが、白木ジムの公開スパーリングに侵入してカーロスとスパーリングさせろと言い出す。

ロバートは断るが、葉子がロバートに頼んでOKさせる。

スパーリングの公開/非公開公開

白木邸で翌日のスパーリングが決定。
葉子がマスコミを呼んだのでしょう。

公開

原作と同じ
翌日かどうかは定かではない。

公開スパーリング中にジョーが来て、肘打ちの話をしはじめたので葉子がマスコミを追い出す。

その後のジョーとのスパーリングは非公開

反対者を押し切ってスパーリング開始に至るまでジョーが「16オンスのグローブで勝負しろと言うのか」と葉子に怒ったり、段平が飛び込んできてやめさせようとするのを見て、カーロスは笑いが止まらない。

おかげで段平が黙ったところで、葉子がゴングを指示してスパーリング開始。

必死にやめさせようとする段平にロバートまで同調するのを笑い出すのはジョー。

「たかがスパーリングだろ、なあカーロス」となりカーロスも同意。

この時ふたりは以心伝心。

最初から本気でやるつもりでいる。

段ロバは依然としてやめさせたがっているが、葉子が強行。

段平が乗り込んでくるのは、スパーリング途中なので、開始の時にはしぶしぶながら承諾のロバートしかいない。

よって直前の妨害はない。

スパーリング1Rは、カーロスはまだ笑いながらやっていて、一度もパンチを出さない。
ジョーは、大振りに終始するがこれはジョーの芝居。2Rで打ち込んできたカーロスにクロスカウンターを決める。ジョーがクロスしたストレートは左。カーロスの右のテンプルに当たる。カーロスは目の色を変えてジョーに肘討ちを食らわせる。
序盤はカーロスが一方的に攻める。ジョーが狙っているのはクロスカウンター。

ジョーがクロスしたストレートは左。

これに応えてカーロスは肘打ちを出す。

カーロスはそこそこに相手して済ませようとしている様子。

ジョーのクロスカウンターが決まって、カーロスはBGMを止める。
クロスしたジョーのストレートは右。

クロスカウンターでジョーは吐き始めるが、ファイティングポーズは変わらず、カーロスはスパーリングを続行。

ジョーは吐きながら打ち、吐きながら打たれている。

ダウンしたジョーの脳裏に少年院の青空が。

初めて力石から受けたパンチを思い出している。

この時ジョーに本当の覚醒が訪れ、カーロスの肘打ちを引き出す。
もう吐いていない。

スパーリング終了ロバートが、「カーロスが本気になってしまったので、もう中止したほうがいい」と提案。
まだ日本での試合がふたつ残っているので、カーロスの実力がマスコミにばれるとまずいこともあり、葉子の指示で中止。
スパーリングが過熱したところで、段平ロバートが力ずくで止める。段ロバは終了させようとし、葉子は続けさせようとする中、ジョーとカーロスはそのゴタゴタを無視して勝手に打ち合っているので、段ロバリングに上がって力ずくで止める。

葉子は黙ってジムを出る。

スパーリング後のジョーとカーロスカーロスがロバートに連れられて出て行くと、ジョーはその場に座り込む。

ヘッドギアの下の頬にアザ

カーロスがロバートに連れられて出て行くと、ジョーはその場に座り込む。

同じ頃カーロスは、シャワーを浴びながら立っていられなくなる。

カーロスがロバートに連れられて出て行くと、ジョーはその場に座り込む。
ジョーの肘打ち発言スパーリング終了後、マスコミもカーロスも退出し、葉子と段平だけが残るジムで、肘打ちを受けたことは勲章だと言う。何も言わないが、カーロスは仙台でジョーに会ったとき、明日の南郷戦で使う秘密兵器はジョーへの贈り物だと話している。

スパーリングの時には、少なくともカーロスは、ジョーだけは肘打ちに気付いたはずと思っている。

ジョーとのスパーリングの前、白木ジムの選手とスパーリングしているカーロスにからみながらその話を出す。
スパーリングのお礼
(最初ジョーは、スパーリングパートナーのバイトをさせろと葉子に持ちかけていた)
カーロス-原島戦の招待券

ジョーが金はいらないと言うのを見越した葉子が用意した招待券

カーロス-原島戦の招待券

ジョーが金はいらないと言うのを見越した葉子が用意した招待券

葉子はジョーの回復を見て立ち去るので終わってからは何も受け取っていない
ポップコーン

詳細は下に

この日ではなく

エキシビションの前のカーロスの公開スパーリングをジョーが見に行ったとき

12巻P180~184

この日ではなく

試合の前の公開スパーリングを見に行ったがスパーが中止されていた日

第77話「男の闘い」

スパーリング前、相手をさせろと言っているときにカーロスに弾き飛ばしている。

アニメ2でだけ吐いているのにはわけがある

ドサ回りというか、稲ちゃんの存在があるかないかの違いです。

原作とアニメ1では、ジョーはドサ回り中にカーロスを知り、カーロスのことで頭がいっぱいになります。

昼夜ぼんやりとカーロス熱にうかされ、草拳闘どころではないジョーを見かねた稲葉(ドサの先輩ボクサーで一座のまとめ役。それほど深い会話をしたことはないけれどもジョーの理解者だったあの人。稲ちゃん)が、リングでジョーを殴りながら、さっさとカーロスのところへ行けと言って、ジョーを巡業から叩き出したのです。

その声を聞いてジョーは、催眠が解けたように我に帰って東京行きの列車に乗りました。

原作とアニメ1のジョーは、稲ちゃんのパンチで故障した回線がつながっていたので、心には一点の迷いもなく、全身全霊全細胞がカーロスとの殴り合いを求めているという状態です。

吐く心配はもうなかったのです。

対するアニメ2には、ドサ回りがないので稲ちゃんセラピーもありません。

ジョーが自分を取り戻すのは、カーロスに倒され力石のパンチを思い出したときです。

少年院を脱走しようとしたあの日。ジョーと力石の最初の日。

初めて受けた力石のパンチを、その体感を思い出したジョーは、立ち上がり、立ち向かい、立ち直ります。

タイガーや原島のヘナヘナパンチじゃダメだったのよねん。

ジョーの辿ったこの経過には考えさせられます。

ぬかるみを這ってでも進むと決めた先に見出した出口は新たな敵であり、背筋をピシッと通してくれたのは癒しや安らぎではなく、ましてや錠剤やカプセルでもなく殴打だった。

ジョーは特別で特殊で特異な人間だから?

本当にそうかな?

ポップコーンは原作アニメ1アニメ2で時と意味が違う

ポップコーン

さあポップコーンですよ。

ジョーがポップコーンを指で弾いてカーロスに当てる場面は、印象深く、覚えている人が多いんじゃないかなと思います。

このポップコーンですが、出てくるところが原作とアニメ1アニメ2で違うのです。

ジョーとカーロスのスパーリングの日に出たのは、アニメ2だけ。

原作とアニメ1では、もっと後、ジョーとの対戦の前のカーロスの公開スパーリング(白木ジムの選手とのスパーリング)をジョーが見に行ったときです。

そしてそれぞれポップコーンに込められた意味が違います。

と言いますのは…

アニメ2のポップコーン

ジョーが白木ジムで公開されているカーロスのスパーリングに乗り込んでパートナーをやらせろと言いながら、カーロスをポップコーンの的にしています。

上で表にしている日のことです。

カーロスのほうは、なんだこいつ?くらいの感じでクールにポップコーンをよけています。

このときのジョーのマインドは、「おいカーロスこっち向け」でしょう。

物理的にではなく心理的に。

ところでこの日のポップコーンは、スパーリングの準備をしに行くとき残りを葉子に渡しています。

しぶるロバートを葉子が説得してくれたのでそのお礼に。

実はアニメ2ではずっと後にラスベガスで葉子とふたりでホセの試合を観た時にもジョーは、ポップコーンを食べています。

食うか?と言って葉子に袋を差し出したり珍しいことも。

ポップコーン野郎なの?

あの時は並んで試合を観るのが恥ずかしくてお菓子齧ってるようにもとれるな…

普段は間食なんてしてるの見たことないし。

アニメ1のポップコーン

アニメ1のポップコーンは、ジョーとの試合の前のカーロスの公開スパーリングを見に行ったときです。

白木ジムに着くとスパーリングは中止されていて、カーロスに何かあった雰囲気。

この時海外のプロモーター、ヘンリー・ジェイムスがカーロスに会いに来ていて、ジョー・ヤブキとの試合をキャンセルしろと説得しているところだったのです。

ヘンリーが持ってきた話は、世界チャンピオンホセ・メンドーサとのタイトルマッチでした。

ホセが落ちそうだから今すぐ帰って契約するべきだとカーロスの前に札束とチャンピオンベルトを締めたホセの写真を並べて決断を迫っています。

世界タイトルはカーロスの悲願でもあり、ヘンリーはそうおかしなことを言っているわけでもなく…カーロスは迷っています。

でも、その部屋にジョーが現れると、カーロスは心を決め、ヘンリーは諦めて帰って行きました。

わたしはジョーと試合する。と言ってジムのリングに上がり、シャドウボクシングをするカーロスに、ジョーはポップコーンを投げるのです。

こちらのポップコーンは、言葉にするなら「ありがとうよ。このバカやろうめ」といったところでしょうけれども、もっと深く熱いメッセージを投げていたように感じます。

表現できる言葉はどこにもないかも。

世界タイトルマッチを袖にして日本ランキングにも入っていないジョーとの試合を取った男に何て言ったらいいの?

ポップコーン以上のものないわ。

原作のポップコーン

原作でもジョーとの対戦前にスパーリングを見に行ったときというのは同じですが、原作にはジョーとカーロスの対戦はふたつあり、ポップコーンは、最初の方、エキシビションの前です。

タイガー尾崎との試合も終わっているカーロスは、もうその実力を隠そうともせず、2クラス上のライト級の選手でも相手になりません。

スパーリングが終り、マスコミも引き上げたリングに残ってシャドウをしているカーロスをジョーは、ポップコーンで攻撃し始めます。

ジムの若手が「ミスター・カーロスを怒らせたらぶっ殺される」と慌ててジョーを止めますが、もちろんカーロスは怒っていません。

面白そうにポップコーンをよけているだけです。

帰り際にジョーは、お前は確かに本物だ、試合の日を楽しみにしていると言いながら最後に一粒弾いて行きます。

その一粒だけが、カーロスの頭にポンと当たり、カーロスは、何かを感じたような顔つき。

カーロスとポップコーン

KCコミック あしたのジョー(12) P184 (C)高森朝雄・ちばてつや 2012

原作でのポップコーンは難解ですが、「お前は本当に強いが、おれにも策があるぜ。油断してくれるなよカーロスのダンナ」かな?

試合の前日になるとジョーは、練った作戦を段平に説明します。

このプランをカーロスのスパーリングを見ながら考えついていたとすれば、こんな気分になるだろうなと思います。

ふたりの対戦についてはこちらに