【あしたのジョー全出来事256】葉子武道館を飛び出しまた戻る「私が首謀者」
「あしたのジョー」すべての出来事を漫画とアニメの違いを確認しながら振り返っています。
アニメ、漫画の該当箇所も書いておくので「あの場面は、何巻だっけ?アニメの第何話だっけ?」と思った時にもご活用ください。
エピソード
試合は一方的になりました。
ジョーの片目は見えず、身体は思うように動きません。
でも試合は終わりません。ジョーが倒れないから。
少年院の力石戦と同じです。
ああも凄惨な試合になったのは、ダウン無制限のルールの下、ジョーが何度倒されても立ち上がってしまうからでした。
葉子もまた、あの日と同じ行動をとります。
じっと黙って試合を見ていた葉子でしたが、とうとう耐えられなくなり、第8ラウンドの途中で会場を飛び出します。
もっとも、あの日と今日では事情が違います。
少年院では、血みどろの試合を間近で見ていて気分が悪くなった程度のことだったでしょう。
今日は、ジョーがはじめから大きな危険を背負ってリングへ上がったことを葉子は知っているのです。
車に飛び乗ると葉子は、行き先を指定せず早く車を出すよう運転手に命じますが、思い直して武道館へ戻ります。
戦いの首謀者は、逃げてはいけない。
少年院でジョーから聞いた言葉を思い出したのです。
カーラジオは、ジョーのロープダウンを告げています。
もちろんこの試合は、ダウン無制限ではありません。
ラウンド中に3度倒れれば終りです。
葉子は、逃げ出した武道館のロビーを逆に走ります。
該当箇所
コミック:20巻P191~203
アニメ2:第47話「青春はいま…燃えつきた」
コミックの掲載箇所としているのはKCコミックでのページです。
原作とアニメの相違点
「戦いの首謀者」というキーワードは原作にしかない
この時だけでなく、「戦いの首謀者」という言葉は、アニメには出て来ません。アニメ1を含めてもです。
原作では三度「首謀者」というキーワードが浮上します。
はじめに葉子を首謀者と呼ぶのはジョーです。
少年院での力石戦終盤、中座しようとする葉子を呼び止めて言う
あんたはこの…
この試合の首謀者なんだから
おしまいまでちゃんと
責任を持ってなKCコミックあしたのジョー(3)P123 (c)高森朝雄・ちばてつや2012
この台詞が最初です。
ジョーがこれを言うのは、一度きりで、後は葉子自身が自分は首謀者だと考えるだけなのですが…
二度目は、カーロスとの後楽園球場での試合の最中です。
カーロスがロープを鋼鉄の棒にしてジョーを倒した直後、葉子は観客席でパニック的に「もうやめて」と騒ぎ出しますが、少年院でのやり取りを思い出すと居住まいを正し、後は毅然と試合を見守ります。
KCコミックあしたのジョー(13)P220 (c)高森朝雄・ちばてつや2012
三度目が、ホセ戦です。
カーロスのロープ際うんぬんかんぬんは、こちらに
アニメでクローズアップされるのはジョーの「ありがとう」
アニメの葉子が、武道館から去ろうとする車中で思い出しているのは、控室での会話です。
中でもジョーが出て行くときに残した「ありがとう」が頭の中でリフレインし、葉子は会場へ戻る決意をします。