「あしたのジョー」すべての出来事を漫画とアニメの違いを確認しながら振り返っています。

アニメ、漫画の該当箇所も書いておくので「あの場面は、何巻だっけ?アニメの第何話だっけ?」と思った時にもご活用ください。




エピソード

とても美しい花嫁さんです。

花婿は普通です。

新郎の友人代表は、もちろん東洋チャンピオンです。

ジョーは、初めて会ったのはネリカンだったと言い出し…

やると思ったよ。

続けて練鑑ブルースを歌い出し…

そこまでやるとは思わなかったよ。

ジョーのスピーチは

そしておれたち二人は
ずいぶんハデになぐり合ったっけ

そのなぐり合いがこっちは商売になっちまって…

おめえは

ふふふ…ちんまりおとなしく収まりやがって模範青年

こんな可愛い嫁さんを物にして…
まあせいぜい幸せになってくれや!

KCコミックあしたのジョー(19)P179 (c)高森朝雄・ちばてつや2012

同じような所にいて、同じような道を歩んでいたはずのジョーと西が、今ではすっかり違う世界にいます。

ちんまりおとなしく模範青年になるのが、どんなに難しいことか、ジョーは、知っています。

おそらく西は、ジョーがそれを知っていることを知っていて、ジョーは、自分がそれを知っていることを西が知っていると知っています。

分かりにく!

つまり

西は、ジョーが「ちんまり模範青年に収まるなんて大変なことを西よくやったなー」と思って話していると理解していて、ジョーは、西には真意が伝わると信じてこのスピーチをしているということです。

すごくいいスピーチだと、私はそう思いますが…

紀ちゃんは、どう感じているのか。

あの夜、紀子は、ジョーを好きだと言ったわけではありません。

別れたとかふられたとかでもありません。

紀子の、「ついていけそうにない」「さようなら」が、それらしい言葉ですが、ジョーは、それに対して何も答えていません。

原作では、あの後ジョーと紀子は、ほとんど顔を合わせていません。

ジョーが東洋タイトルを獲ったときに紀子は、西とふたりで丹下ジムにお祝いを持ってきますが、ジョーは不在で、会わずに帰ります。

ハワイから帰国したときには、山谷の面々に混じって空港へ出迎えに来ています。でも、ロビーで盛大なお土産分配が始まり、ふたりが話をしている様子はありません。

感覚的には、あの夜以来の再会が今日の結婚式でしょう。

紀子が遠ざかって行ったのは、ジョーの生き方について行けないと思ったからです。

そして今日ジョーは、自分と西は別な世界にいるねと、話しています。

西の渡ってきたこちらの世界は、ジョーとは別の世界。

ならばもうどうにもなりません。

ジョーが紀子をどう思っていても関係ありません。

紀子には、ジョーのスピーチが自分への返事に聞こえたかもしれません。

…でも

平凡もまた素晴らしいよ紀ちゃん。平凡も才能なんだよ。

ジョーは、それを分かってる。

生い立ちを考えれば、ありふれた普通の家庭にこそ憧れを抱くことがあったはず。

でも自分には無理だと知っているから、欲しがらないことに決めている。

欲しがってしまったら、手に入らなかったときに深く傷ついてしまうから。

裏を返せば、深く傷つくほどに欲しいものだから。

…ではないのかな?

指輪を交換する新郎新婦を見つめるジョーの複雑な表情を見ると、そんなことを考えます。

あしたのジョー19 P176

KCコミックあしたのジョー(19)P176 (c)高森朝雄・ちばてつや2012

どこにでもあるはずのもの。あっちにもこっちにもすぐそこにもあって、手を伸ばせば届きそうなのに、触れることの出来ない「平凡」という幸せ。

西と紀子に、そんなものを見ているように感じられます。

該当箇所


コミック:19巻P173~179
アニメ2:第41話「ホセ来日…闘いの日はせまった!」

コミックの掲載箇所としているのはKCコミックでのページです。

原作とアニメの相違点

アニメでは、段平とジョーが揃って式の時間を忘れていて、子供たちがジムへ呼びに来ますが、原作で忘れているのは段平だけです。

と言うのも…

原作では、葉子から、カーロスをパンチドランカーにしたのは、ジョーでなくホセだと知らせる手紙が届くのが、結婚式の日なのです。

手紙に「もうひとつ重大な事実がある」と書かれているのを見て、段平は、軽めのパニックを起こしているので、結婚式どころでは…

葉子の用件に大体想像のついているジョーは、「さあ結婚式だ」と煙に巻いてしまいます。

また原作では、西と紀子は、これが最後の登場です。

 

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