【あしたのジョー全出来事240】葉子、パンチドランク告知に奔走
「あしたのジョー」すべての出来事を漫画とアニメの違いを確認しながら振り返っています。
アニメ、漫画の該当箇所も書いておくので「あの場面は、何巻だっけ?アニメの第何話だっけ?」と思った時にもご活用ください。
エピソード
Dr.キニスキーから「ジョーはすでにパンチドランカーであり、その症状は、かなり進行している」と告げられた葉子は、ジョーにそれを話し、世界タイトルマッチを思いとどまらせようと考えます。
でも、ジョーが葉子を避けるので、話が出来ないまま試合が近づいてきます。
該当箇所
コミック:19巻P157~158
アニメ2:第42話「衝撃…葉子の予感」
コミックの掲載箇所としているのはKCコミックでのページです。
原作とアニメの相違点
葉子のやることが違う
アニメでは、キニスキー博士から、ジョーを診察する機会を作ってくれと頼まれているので、最初に葉子のすることは、博士とジョーを引き合わせることです。
診察をすすめて承諾するジョーではないことを心得ている葉子は、ジョーをドライブに誘い出し、偶然を装って博士に会わせようと画策します。
来日しているホセが自分に会いたがっているのだろうと早合点したジョーは、機嫌よく葉子の助手席に乗りますが、案内された空港ラウンジにキニスキーが現れると、葉子の策略に気付きます。
アニメのジョーは、キニスキーと面識があります。
少し前にホセに招待されてラスベガスの試合を見に行ったとき、葉子に紹介され、並んで観戦しました。
先日のカーロスのいる控室でも葉子は、キニスキー博士の名を口にしていて、パンチドランカー症状にあかるい医師であることを話しています。
そこへ謎のドライブの誘いがあり、連れて行かれた店で「まあ!偶然ですわ。ドクターキニスキー」とやられたら、そりゃ怪しんで当然ですが…
もっとも、この時葉子もキニスキーも、ジョーが自分の症状を自覚しているとは思っていません。
まったく気付いていないから、ホセに挑もうとしているのだと考えています。
ジョーは、博士との同席を拒み、ひとりで店を出てしまいます。
それから葉子は、何度となく丹下ジムへ電話を架けてよこしますが、ジョーは頑として話を聞こうとしません。
原作では、キニスキー博士の診断が重度のパンチドランカーと確定していることもあり、ジョーを博士に診せようとすることは、ありません。
なのにジョーは、はじめから葉子の電話に出ようとせず、段平まで電話を取らなくなってしまいます。
原作のジョーのこれは、どうして?
カーロスの現れた夜からの続きで怒っているようにも見えますが、ちょっとおかしいと思うのです。
どんなに激しくぶつかり合っても、次に会うときはけろっとしているのが、これまでのジョーと葉子であり、どちらも本気で相手を遠ざけようとしたことは、一度もないのです。
葉子がパンチドランカー症状を見抜いたと勘付いているとしか思えませんが、なぜバレたと思ったのか。
思い当たるフシがないではありませんが…
たとえば
ハワイのビーチで葉子がジョーの蛇行する足跡をじっと見ていたとき、ジョーは葉子の動揺に気付いていました。
あの時点でジョーにはまだ自分がまっすぐ歩けなくなっているという意識はなかったと思いますが、「なぜ足跡を見て驚いているんだろう」とは、思ったはずです。
KCコミックあしたのジョー(17)P74 (c)高森朝雄・ちばてつや2012
そしてハリマオ戦控室で、カーロスのボタンをはめてやれないところを葉子に見られています。
葉子はその時、キニスキー博士と知り合いであることも話していました。
葉子に症状を気取られている可能性を疑う要素は、こういったことがポツポツとあるくらいですが、葉子には、ジョーの減量にいち早く気付いたという実績もあります。
アニメだけにあるジョーの深夜ラン
深夜に帰宅した葉子が幹之介にジョーの病状を話し、気付くのが遅れ、ハリマオ戦を組んだ自分を責めている頃、ジョーは、窓の外の雨を眺めていました。
ジョーは、ジムを出て雨の中を走り始めます。
どこから来たのか、横を走ってついてくる子犬をジャージのお腹に入れてブランコに乗るジョー。
待ち受ける運命を知りながらリングに上がるジョーですが、試合が近づくこの時期にジョーの心情の垣間見える場面は、原作にはありません。
何を思っているのか。
恐怖を感じずにいられるはずがありません。
ブランコに揺られるジョーは、これから起きることのすべてを受け入れているだけでなく、弱さをも含めた自分自身のすべてを受け入れているように見えます。